先週の土曜未来講座は「想像するちから―チンパンジーが教えてくれた人間の心」
京都大学霊長類研究所教授の松沢哲郎先生が講演してくださいました。
京都大学に進学した卒業生が、「母校で講演してくれませんか?」とお願いして実現したものです。
ヒトの「アウトグループ」であるチンパンジーを理解することで、「人間とは何か」という問いに、答えを出そうとする発想である。本日のテイクホームメッセージは、ヒト科は4属。ヒト属、チンパンジー属、ゴリラ属、オランウータン属である。動物分類学上だけではない。日本の法令上もそうだ。
というお話から始まり、様々なチンパンジーの野外観察と実験が多くの映像を使って紹介されました。
ヒトとチンパンジーの比較研究を通して、こころ、ことば、きずなについて理解を深め、「人間とは何か」という問いの答えに迫っていかれました。描く絵の比較により、「想像するちから」が人間を人間たらしめている心の働きである。「今、ここの世界」を生きているチンパンジーに対して、人間は過去にも将来にも「時間的、空間的に広がった世界」で生きている。だからこそ、人間は絶望もするし、希望をもつこともできる、とお話されました。
最後に、「緑の回廊プロジェクト」が紹介され、現地で活躍する欧米女性を称え、日本の女性が頑張れないわけがないとエールを送って下さったことが、私にとっては印象的でした。
講堂に集まった中学1年生から高校3年生までの生徒たちは、とても興味深く、熱心に講演に聞き入っていました。そして、松沢先生が披露してくださったチンパンジーの発声には、さすがチンパンジー研究の第一人者、と感嘆の声があがっていました。